リカバリーカレッジアスピア(酒田市)では、主に精神障害のある方を対象に、生活訓練サービスを提供しています。

支援は、社会福祉士や精神保健福祉士などの専門職が中心となり、エビデンス(科学的根拠)に基づいた支援手法を用いて実施しています。利用者一人ひとりのニーズや目標に応じて作成される個別支援計画と連動しながら、生活能力の向上を目指しています。

 

その評価には、地域生活を営む上で必要なスキルを多角的に捉えるためのツールである”SIM(社会生活自立度評価指標)”を活用しています。
この指標により、支援の成果を客観的に把握することが可能となります。

今回は当事業所における支援の実践結果として、評価の概要を以下に公開いたします。

 

評価実施期間:令和6年4月〜令和7年3月
評価対象者数:2名
評価者:社会福祉士

【序文】
本報告書は、一般社団法人Pasioリカバリーカレッジアスピアにおいて実施された、「社会生活の自立度評価指標(SIM)」に基づく評価結果のまとめである。
SIMは、障害のある方々が地域で自立した生活を送るために必要な生活能力を評価する指標であり、以下のような評価項目と採点基準によって構成されている。

【評価項目】
健康管理、金銭管理、身の回りの管理、買い物、家事活動、調理、セルフマネジメント、公共交通機関の利用、自動車運転、人間関係、仕事/学校、地域での余暇活動、日中活動、制度・サービス活用

【採点基準(7段階)】
7点:継続的に自立 6点:自立 5点:見守りが必要 4点:最小限の支援が必要
3点:中等度の支援が必要 2点:最大限の支援が必要 1点:全面的な支援が必要

 

【評価結果概要(2名平均)】

詳細別添ファイルR6年度アスピア_SIM評価報告書

【総合得点(平均)】
前期平均:50.0点 → 後期平均:54.5点(+4.5点)

 

【総合評価コメント】
対象者2名の平均的傾向として、自立度は全体的に向上しており、特に公共交通機関の利用、人間関係、買い物、身の回りの管理などにおいて改善が見られました。一方で、調理やセルフマネジメントといった自己管理能力に関しては引き続き支援が必要であり、家事活動や仕事・学校などの分野では定着に向けた働きかけが求められます。

 

【今後の支援の方向性】
今後は、地域社会との関わりを広げる取り組みを継続しつつ、余暇活動や調理、セルフマネジメントの定着を図るとともに、個別の強みを活かした支援設計(下記参照)を行い、より自律的な社会参加を目指した支援の充実が望まれる。

 

【今後の支援の方向性(具体的例)】
1. 調理・家事活動のスモールステップ支援
・調理は「包丁を使わないメニュー」など安全性を確保した段階的訓練から再スタートする。
・家事は「曜日別の洗濯・片付けルーティン化」等、視覚的・身体的な習慣化を支援する。

2. セルフマネジメント力の強化
・毎日の予定表づくりやToDoリストの活用により、日常の中で「自己選択と自己決定」を促す。
・「うまくいかなかった日の振り返り支援」を通じて、感情と行動の整理力を育てる。

3. 地域とのつながりを意識した余暇活動支援
・市民講座や地域イベント、ボランティア体験など、「役割」をもてる余暇活動を紹介・同行支援する。
・支援者抜きでも参加できる「居場所」の情報提供と事前リハーサルを行う。

4. 人間関係構築の場面支援
・日中活動や送迎時などの「自然な場面」で、挨拶や会話のきっかけづくりを促進。
・コミュニケーションが苦手な方には「会話カード」「関心マップ」など視覚支援ツールを活用する。

5. 制度・サービスの自発的活用に向けて
・支援計画の作成や通院時に、本人が「自分の言葉」で希望や状況を説明する練習を行う。
・福祉サービスの「選び方・使い方」を図解し、本人の選択肢の幅を広げる。